カテゴリー
会計監査

四半期レビュー手続について

海の日も終わり、今日は夏休み前最後の登校日となっています。

3月決算会社については6月末が第1四半期にあたり、決算作業や監査法人によるレビュー手続の真っ最中かと思いますが、先日「監査法人のレビュー手続と年度の監査手続は何が違うの?」というご質問をいただきました。

結論から言いますと、四半期レビューにおける手続はレビューの結論を形成するための手続であり、四半期レビューの結論は年度の監査意見と比べて限定的な保証水準であることから、手続も限定されているということになるかと思います。

【四半期レビューの目的】

四半期レビューの目的は、経営者の作成した四半期財務諸表について、一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適正に表示していないと信じさせる事項が全ての重要な点において認められなかったかどうかに関し、監査人が自ら入手した証拠に基づいて判断した結果を結論として表明する
ことにある。当該結論は、四半期財務諸表に重要な虚偽表示があるときに不適切な結論を表明するリスクを適度な水準に抑えるために必要な手続を実施して表明されるものであるが、四半期レビューは、財務諸表には全体として重要な虚偽表示がないということについて合理的な保証を得るために実施される年度の財務諸表の監査と同様の保証を得ることを目的とするものでない(「四半期レビュー基準」第一 四半期レビューの目的)。

では四半期レビューにおいてはどのような手続きを行うのかというと、「監査人は、四半期財務諸表に関する重要な虚偽表示の可能性に常に注意し、質問、分析的手続その他の四半期レビュー手続の結果や経営者の陳述が相互に矛盾していないかどうかについて批判的に評価し、さらにそれらの信憑性に疑念を抱かせることになる四半期レビュー手続の結果にも注意を払うなど、職業的懐疑心を保持して四半期レビューを遂行しなければならない。」としており、通常、内部統制の運用評価手続や実査、立会、確認、証憑突合、質問に対する回答についての証拠の入手及びその他の実証手続に基づく証拠の入手は要求されていないとされています。

これだけみると「分析と質問でOK!会社の対応も限定的で済みそう」となりますが、「四半期レビュー基準」第二 実施基準 7において、監査人は、四半期財務諸表に企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を重要な点において適正に表示していない事項が存在する可能性が高いと認められる場合には、追加的な質問や関係書類の閲覧等の追加的な手続を実施して当該事項の有無を確かめ、その事項の結論への影響を検討することが求められています。

この追加的な手続は、質問及び分析的手続等の四半期レビュー手続を行った結果、監査人が四半期財務諸表について、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を重要な点において適正に表示していない事項が存在する可能性が高いと認められる場合、又は疑義が生じた場合に行うとされていますので、結局、通常想定されない財務諸表数値の変動や通例でない重要な取引、通例であっても利益等に重要な影響を与えるような取引があれば、質問や分析だけではなかなか取引の詳細までは理解できないことため、追加的な手続が必要になるのではと考えます。

一方で昨今は監査の繁忙期の作業を前倒しするという観点から年度で実施する手続を四半期レビュー時に実施しているケースも多いと思いますが、これらは四半期中にどうしても実施しないといけないというものではないということになります。

3月決算の1Q提出期限は8月15日であり、夏休みと重なる会社もあると思いますので、必ずしも四半期中に終わらせないといけない作業なのか監査法人と話しあってみるということもよいかもしれません。