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会計監査

包括外部監査について

 ここ2週間ほどかけて日本公認会計士協会の公会計分野の研修や包括外部監査の研修を受けました。
自治体側における内部統制の整備に関する視点が追加されていたり、監査委員のよるべき監査基準の設定など、ある意味で監査をするためのベースが私が以前に業務で関与していた時よりも強化されていることを再認識することができましたが、外部監査の実施方法に関する具体的な内容があまりなく残念でした。

包括外部監査は合規性の監査(規則や法律等に準拠しているのか)と3E(経済性、効率性、有効性)の観点から実施することが最低限ということは以前から理解していましたが、欧米では4E(平等性や環境)やさらに広い視点での監査が実施されているということで自分自身もう少し勉強をしていかなければと思いました。
 最近読んだ本の中にEBPM(Evidence Based Policy Making)という考え方がありました。政策立案において客観的な検証ができるようにすることで、勘や経験や思い込みによる政策ではなく裏付けのある証拠(Evidence)に基づく政策の決定をするという考え方です。
 個人的には今後包括外部監査の業務をすることがあれば、Evidenceが十分なものか(例えば政策が期待する成果が施設の利活用である場合に、利用日数だけではなく利用時間の視点が必要ではないのか、またそれがEvidenceから読み取れるのか)とそもそもの政策の実施結果(アウトプット)と政策の成果(アウトカム)が十分に整合したものになっているかという観点をもって取り組んでいきたいと考えています。

 なお、研修資料(地方公共団体の外部監査に関するガイドライン及びQ&A)では、「地方自治法では、地方公共団体は、議会と議会以外の執行機関に区分され、監査は執行機関に対して行われるものとされています。そのため、住民の直接選挙により選定された議員による議会での決定(政策的判断)は包括外部監査において、基本的に報告書に記載することは予定されていません。」となっているので、議会の議決を経て決定される政策そのものは監査の対象ではないため、政策の有効性を評価するのは住民の役割になります。
 細かな政策の問題点を個人の立場から指摘するのは難しいので、各々議員の良識に基づく問題提起やマスコミの取材などが重要になるのかと思います。一市民、一国民として無駄遣いとなるような支出については目を光らせていきたいと思います。