年末も近づき、どこの家庭もクリスマスや年越し、お正月と財布のひもも緩みがちになる時期ではありますが、子育て世代に対する10万円の支給にかかる事務費が膨大にかかるというものが今話題になっています。
支給について所得制限をかけるのがよいのかどうか、所得制限をする場合の所得は世帯主なのか世帯収入にすべきなのかという論点に加えて、支給を現金でするのかクーポンにするのかが今の話題の中心ではありますが、政策として練られていないままお金だけを配ろうとすることに、自分自身が子育て世代として支給を受ける側であるためメリットを受ける側であることを差し引いてもこの国の行く末と財政を心配せざるを得ません。
もともとの政策の目的はコロナで傷んだ家計に対する緊急的なお金の補助であったはず?なので、無駄なコストを使わない形での現金支給が個人的にはベストなのではと思います(貯蓄に回るのではないかという声もありますが、お金に色はないので配ったお金が貯蓄に回ったかどうかはあまり意味がない議論だと思っています)が、それはさておき、支給するとなれば多額の財源が必要であり、そのお金は日本政府が借金をする形での国債発行でまかなわざるを得ない状況です。
一時期、日本の国債は日銀を中心に大部分が国内で消化されているのだから、日銀を連結してしまえば債務が消えてしまうという考え方もよく耳にしました。
実際には日銀が自由にお金を印刷したぶんだけ利益を計上できるわけではないので、日銀が国債を引き受けるお金の原資は市中銀行からの借入であり、銀行が日銀に貸し出す資金の原資は私たちが銀行に預けている預金になっているわけです。
その意味では日本の国債の引き受けは私たちの銀行預金を原資としているとも言え、日本の国債の残高が異常に膨らんでも利率の上昇が起こらないのは、私たち日本国民の貯蓄が十分にあり、将来財政危機が進んで国債のデフォルトが想定されるような場合には日本政府が増税を原資として国債を償還できるからということになるのかと思います。(日本国民の貯蓄が国債償還のための担保としてみられているため、このような財政危機においてもまだ国債の利率が上がっていないといえばよいのでしょうか)
もちろん自国で通貨発行権を持っているから、日本国債はすべて円建て自国通貨建て債券であり、利払いも償還も円で行っているからデフォルトしないんだという意見があることもあるとは理解していますが、借金を返せなくなりそうだからお金を追加で印刷して返せばいいというような考え方がまかり通ってしまえば通貨である円自体に価値がなくなってしまい、利払いや償還を円で受けたいと思わなくなるので誰も国債を新規に購入することもなくなってしまいますよね。
今後国債の消化について国内だけでは十分にできないような状況になれば、国債の利率が上がっていくことも想定されます。そうなった場合には経済成長を上回る金利となり、借金が減らすことが非常に困難な状況を生み出してしまうのではないでしょうか。現状のような危機的な状況下において財政支出が膨らむことは一時的には致し方ない面もあると思いますが、sustainableな国家財政を考えると一つ一つの政策においても意味のあるお金の使い方をしていくことが50年、100年後の世代に対して誠実性のある政治なのではないかと思います。