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税務

改正電子帳簿保存法における電子取引のデータ保存

 令和4年1月1日以降において、電子取引については従来の「電子データを印刷して保存する方法」が原則として認められなくなり、電子帳簿保存法の適用の有無にかかわらず、電子取引を行っているすべての事業者に適用されることになりました。
 電子データを保存要件に従って保存していない場合、災害等による事情がなく、電子データが保存要件に従って保存されていない場合には、青色申告の承認の取り消し対象となりえるとされています。(取り消しについては違反の程度等を総合勘案の上判断することとされています)

昨今では企業を含め多くの方がAmazonや楽天を利用されていると思われますが、その際には印刷した領収書等が発行されないケースが存在し、現状は領収書ファイルをダウンロードして、紙に印刷して証票として保存しているケースも多いかと思われます。
 しかし、来年1月以降はこのような対応は認められず、電子データとして領収書ファイルを保存する必要がありますので注意する必要があります。

 そのため、企業においてはシステム(タイムスタンプの利用や訂正削除の記録が残る、訂正削除ができないなどの要件を満たしたシステム)を利用した適切な保管が必要になりますが、すべての企業や事業主がそのようなシステムを利用することができるわけではないかと思われます。(なお、eメールで請求書を受領するようなケースにおいてもメールシステムに保存してあるというだけでは保存の要件を満たしません。電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問4)
 

 国税庁の電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問12においては、請求書等保存ソフトを使用していない場合については以下のように保存することが示されています。
1 請求書データ(PDF)のファイル名に、規則性をもって内容を表示する。

例) 2022年(令和4年)10月31日に株式会社国税商事から受領した110,000円の請求書
⇒「20221031_㈱国税商事_110,000」
2 取引の相手先や隔月など任意のフォルダに格納して保存する
3 「正当な理由がない訂正および削除の防止に関する事務処理の規程を作成し、備え付ける

なお、上記1の代わりに、索引簿を作成し、索引簿を使用して請求書等のデータを検索する方法によることも可能です。

 以上のように、令和4年以降においては電子データにより受領した請求書等の保存方法を見直す必要がありますので、システムの導入ないしはシステムを導入しない場合の社内ルールの構築と保存方法の整備に取り組むための準備を進めましょう。